デジタル照度計を作ろう
〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜
 
  Last Update: 6th, May, 2000
  
概要
 薄暗い部屋での電子工作は、小さなパーツを取り扱い、細かなハンダ付け作業もあり、目によくありません。だからといって明るすぎるのも考えものです。照度計を脇に置いて、適度な明るさで工作したいですね。
  
 こんな願いから、「ひとりでできるもん!」でおなじみの(有)秋月電子通商から発売されている「デジタル照度計キット」を作ってみました。これはそのときの製作メモです。
  
  
  
 このとおり、見た目もうまくできたつもりです。
キットについて
  「デジタル照度計キット」は、同じく(有)秋月電子通商から発売されている「デジタル電圧計(DVM)キット」と「照度計キット」を組み合わせたものです。
  
  
 「デジタル電圧計(DVM)キット」は(有)秋月電子通商から発売されている「紫外線計キット(UVメーター)」に使用されているものと同じですので、説明及び組み立て等は、プロジェクトひとりでできるもん!の紫外線センサーを作ろうのページを御覧ください。 
 「照度計キット」の特徴は次の通りです。
  - 高感度可視光用フォトダイオードBS520が使用され、100000Lxまでのの測定が可能。
  
 - FET入力のデュアル・オペアンプNJMO72Dが使用され、リニアリティにすぐれている。
  
 - 感度切換え(A,B)とオペアンプのレンジ切換え(1/1,1/10)により、フルスケールが4段階(20Lx,200Lx,2000Lx,100000Lx)に切換えできる。
  
 - 006P(9V電池)で、連続で約50時間の使用が可能。
  
 - COMMON電位が異なるため、電源は電圧計と共有できない。
 
組み立て
 スイッチ類とケースはキットに含まれていないので、別途用意する必要があります。作者は、電源(電圧計と同時にできるように2回路)、ポジション切換え、レンジ切換えの3ヶのスイッチと、ケースを用意しました。
1.基盤の組み立て
 専用のプリント基板でなくユニバーサル基板を用います。また、キットに添付されている説明書には部品配置図(数値なし)とパターン図が載っていますが、「回路図とパターン図を追いかけながら製作してください。あえて数値は記入してありません。」と書かれています。いきなり回路図とパターン図を見て組み立てる自信がないので、まずは、部品配置図とパターン図を透明なフィルムシートにコピーして、重ねると部品と接続が一目でわかるものをつくり、組み立てに役立てる工夫をしました。その後、シートに回路図を見て部品の数値を記入したり、ユニバーサル基板に部品配置図を写したりしてから、とりかかりました。
  
  
  
  
  
 まず、部品を配置してハンダで固定していきます。このとき、部品のリードは切り取らずに残しておくと、部品どうしの接続に使えます。 次は、部品どうしハンダ付です。シートにコピーした部品配置図とパターン図を重ね合わせて見ながら、部品のリードで接続していきました。パターン図どおりにせずに、ジャンパー線などを用いて、なるべくリードだけで接続できるようにしたところ、新たにリードをもってきた部分は数ヶ所だけですみました。ショートの心配がある部分は、リードに被覆をつけました。
 これで、基板関係の組み立てはおしまいです。専用のプリント基板でないのでやや大変でしたが、シートが大きな手がかりとなり、いつにない楽しさを味わうことができました。
2.ケースへの格納と調整
 ケースは、ガイガーカウンタ用液晶表示カウンタを作ろうで用いたポリプロピレンのペンケースがちょうどよい大きさでした。このケースは100円ショプ「ダイソー」で販売されていて、小型の基板2ヶと006P電池2ヶを納め、スイッチを数個つける場合に、もってこいの大きさです。しかも加工がしやすいという利点もあります。
  
  
  
  
  -  (1) ケースを加工してスイッチ類とフォトダイオードを取り付けます。
    
 - ケースが半透明なので、フォトダイオードは、ケースの蓋に窓をあけて露出するように取り付けました。裏に強力な両面テープで薄いポリエチレン板を貼り付け、さらにビスどめして、しっかりと固定しました。
  
 -  (2) 基盤や電池を収納します。
  
 - 液晶表示器のついた電圧計の基板は蓋の裏側に、照度計の基板はケースの底にネジ止めしました。取りつける前に、基板類からは、リード線を出しておきます。
  
 -  (3) 調整をした後に、リード線で配線します。
    
 - 説明書に「調整」の仕方が書かれていますので、それに従い、回路の電流とオペアンプ(NJMO72D)の電圧を確認し、オフセット電圧の調整を半固定抵抗で行ってから配線します。
  
 -  (4) 組み立て後、フルスケールの調整をします。
    
 - 1000Lxの照射光を用意して、ポジションA・レンジ1/1で100を示すように半固定抵抗で調整します。1000Lxは100W電球から60cm離れた位置で得ることができます。
 
試してみました
 フルスケールの調整が終わった後に、さっそく、夜間に電子工作をしている部屋で、ポジション(A,B)やレンジ(1/1,1/10)を変えて試してみました。A・1/1(F.S.20Lx)で1900台になる場所の結果は次のとおりです。
  
    
      | ポジション・レンジ | 
      A・1/1(F.S.20Lx) | 
      A・1/10(F.S.200Lx) | 
      B・1/1(F.S.2000Lx) | 
      B・1/10(F.S.10000Lx) | 
    
    
      | 光源あり | 
      1960前後 | 
      193 | 
      019 | 
      001 | 
    
    
      | 光源なし(フォトダイオードを覆う) | 
      000 | 
      -000 | 
      000 | 
      -000 | 
    
  
 おおむね調整もうまくいったようです。
  
  
 ちなみに、普段工作をしている場所は11Lxでした。ところが、電気スタンドを持ってきたとたんに200Lxを越えました。スタンド1つで、ずいぶん目にやさしい環境になるものだと改めて痛感しました。
 一般的に家庭では部屋全体の明るさを50Lx〜100Lxにして、手元は局部照明で明るさを上げていくことがよいと言われています。部屋の明るさを上げるのは簡単ではありませんが、せめてスタンドを用いるようにしたいと思いました。このキットを作った最初の成果でしょうか。
おわりに
 照度計キットは組み立や調整が容易ではありません。それもそのはず、(有)秋月電子通商の印刷の「かわら版」をよく見たら、「<参考>キット製作難易度ランク」では、「三級…中級者向き」になっていました。WWWではわかりませんので、入手するとよいかもしれません。通販のおまけ?に付いてきます。
 このキットを完成することができたので、腕前がちょっとはあがったかな。いや、いや、透明なフィルムシートにコピーして作るようじゃ、まだまだですね。でも、「ひとりでできたもん! 」
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